長南洋一
cyoic****@maple*****
2011年 11月 17日 (木) 14:52:38 JST
長南です。 次の二ヶ所について、もうすこし考えてみました。 > .SS ブレース展開 > > .\"O .I "Brace expansion" > .\"O is a mechanism by which arbitrary strings > .\"O may be generated. This mechanism is similar to > .\"O \fIpathname expansion\fP, but the filenames generated > .\"O need not exist. Patterns to be brace expanded take > .I "ブレース展開 (brace expansion)" > を使うと、任意の文字列を生成できます。この機構は > \fIパス名展開\fPに似ていますが、 > 生成されたファイル名が実在する必要はありません。 > .\"O This construct is typically used as shorthand when the common > .\"O prefix of the strings to be generated is longer than in the > .\"O above example: > この仕組みは、 > 生成される文字列の共通先頭部分が上記の例より長い場合に、 > 短縮表現としてよく使用されます: mechanism と construct は、どちらの言葉も、「部分 (部品) から 構成されたもの」を対象とし、事実上ブレース展開を指していますが、 前者は「部分が共同して働くこと」に注目した表現であり、後者は 「部分から構成されていることそのもの」に注目した表現だと言える のではないかと思います。 そこで、前者にこそ、「仕組み」を訳語に使ってみたら、どうでしょう。 たとえば、 ブレース展開 (brace expansion) は任意の文字列を生成する仕組みです。 この仕組みはパス名展開に似ていますが ... 後者の訳語は難しいと思います。ただ、文章はこんなふうに続いています。 正しい形のブレース展開には、クォートされていない開きブレースと 閉じブ レース、また少なくとも 1 つのクォートされていないコンマが 含まれていな ければなりません。正しい形でないブレース展開は全て、 変更されないでその まま残ります。 { や , をバックスラッシュでクォートすれば、 ブレース展開 の一部と解釈されないようにできます。 パラメータ展開との衝突を避けるた め、文字列 ${ はブレース展開の対象とは解釈されません。 This construct is typically used as shorthand when the common prefix of the strings to be generated is longer than in the above example: 直前では、ブレース展開の正しい書式について述べられているわけです。 ですから、この construct は、「ブレース展開という構成法」、あるいは 「構成されたブレース展開の表記」ということでしょう。 さて、どう訳したらよいのか。 動詞の construct には「文を組み立てる」という意味がありますし、 construction には「構文」という訳があります。これが使えないでしょうか 「ブレース展開」サブセクションの最初のパラグラフに、「ブレース展開 されるパターンは、前置部分 ...、対になるブレースの間にコンマで区切って 並べた文字列、後置部分 ... を順に並べたものです」とあります。 それならば、aaa{bbb,ccc,ddd}eee とタイプしたとき、その全体を ブレース展開の construct と言ってよいのではないでしょうか。 「構文」でピッタリです。 この構文は、生成される文字列の共通先頭部分が前述した例よりも 長い場合に、短縮表現としてよく使用されます。たとえば、 これでもピンと来ないようなら、「ブレース展開というこの構文は」と 言えばよいと思います。 実は、著者がこの文章をここに入れた理由がよくわかりませんでした。 なくてもよかったのではないかと思います。それで、考えてみたのですが、 著者がこの文をどうしても必要だと思ったのだとしたら、それは、 「(a{d,c,b}e のような例は、あくまで説明のための作り事であって) ブレース展開が実際に使われるのは、共通部分が長い場合が普通である」 ということを強調したかったからではないでしょうか。だとしたら、 訳文でもそれを強調するべきでしょう。文の構造を変え、ついでに 「実際に」を補ってみます。 この構文が短縮表現として実際によく使用されるのは、生成される 文字列の前に付く共通部分が、前述した例よりもっと長い場合です。 たとえば、 あるいは、 この構文が短縮表現として実際に使用されるのは、生成される文字列の 前に付く共通部分が、前述した例よりも長い場合がほとんどです。 たとえば、 もっとも、この文は、"mkdir /usr/local/src/bash/{old,new,dist,bugs}" のような長い実例を挙げるための、ただの前置きにすぎないのかもしれ ませんけれど。 -- 長南洋一