長南です。 見直しをしていると、今まで気が付かなかった問題に気が付くものです (それで、切りがなくなるんですけどね)。 The various color options may be set independently, at least on virtual consoles, though the results of setting multiple modes (for example, --underline and --half-bright) are hardware-dependent. 様々なカラーオプションが、少なくとも仮想コンソールでは、それぞれ独立して 設定できる。しかし、マルチモード (たとえば、--underline や --half-bright) の設定の結果は、ハードウェア次第である。 前の翻訳をほぼ踏襲した訳です。マルチモードというのは、一つのオプションの 指定で、複数の特性を同時に設定にするようになっていることだろうぐらいに考えて、 わかったつもりでいたのですが、見直しをしているうちに違うんじゃないかと 思えてきました。multiple modes って何なんでしょう。 二つほど考えがあります。 一つは、multiple は、パラグラフの冒頭にある various を言い換えただけだ という解釈。COD の multiple の説明に "many and various" とあるのが 拠り所です。modes は、様々なオプションによって変更される端末の状態のこと と考えます。この解釈だと、次のようになります。 様々なカラーオプションは、少なくとも仮想端末では、それぞれ独立して設定する ことができる。ただし、多種多様なモードの設定結果は (たとえば、--underline や --half-bright がよい例だが)、ハードウェアに依存している (訳注: set --underline on を例に取ると、端末によって、文字に下線が 引かれることもあれば、 文字の色が変わることもある)。 この解釈の欠点は、それなら、multiple という単語はなくてもよいことです (あっても、よいですけれど)。また、カッコに囲まれた「(for example, ...)」 の部分が、"are hardware-dependent" の後ろに来たほうが自然だということ。 そうすれば、翻訳でも、「がよい例だが」がいらなくなります。 それから、モードのすべてが、ハードウェア依存とはかぎらないだろうということ (逆に、依存してるのは当たり前だと考えることもできますけれど)。 もう一つの解釈は、上の訳注にもあるように、実現様態と言うか、オプション指定の 結果が単一でないものを multiple modes と言っているのではないかということ。 オプションの説明中に「太字 (高輝度)」とか「薄暗色 (半輝度)」などと、カッコに 入れて別の表現があるものが、multiple modes なんじゃないでしょうか。 薄暗色 (dim) と半輝度 (half-brightness) は、似たようなものですが、 太字 (bold) と高輝度 (extra bright) は、明らかに別のものでしょう。 こちらの解釈を採用すると、たとえば、次のようになります。 様々なカラーオプションは、少なくとも仮想端末では、それぞれ独立して設定することが できる。ただし、マルチプルモード (--underline や --half-bright のように 効果の現れ方が単一ではないもの) の設定結果は、ハードウェア次第である (訳注: たとえば、set --underline on は、端末によって、文字に下線が引かれる こともあれば、文字の色が変わることもある)。 --underline や --half-bright が multiple modes の実例なら、この解釈の方が 自然だと思います。こちらの欠点は、multiple modes の解釈が正しいかどうかということ。 正しいとしても、適当な訳語を思いつかないこと。 どちらでしょうか。あるいは、他に解釈があるでしょうか。 それから、もう一つ。 --half-bright オプションの説明に出てくる dim mode を「薄暗色モード」から 「減光モード」に変えることにします。意味的にはほぼ同じで、どちらでもよいのですが、 「薄暗色」は、何と読むのかわからないので。 -- 長南洋一