長南です。 まず、訂正します。 > > ○ --tty-only > > Stop processing options on the right if not on tty. > > > > [試訳] > > 出力が端末でない場合は、これより右にあるオプションの処理を行いません。 > > > > [訳注] このオプションに効果があるのは、'--show-dot' と '--show-tilde' > > に対してだけのようです。 > > 試訳+訳注 で良いと思います。 メールを出した後で気が付いて、返事をいただいたら、訂正しようと思っていました。 --show-dot や --show-tilde ほどすっきりした形ではありませんが、--skip-dot や --skip-tilde にも効果があります。ですから、訳注はこんなふうになります。 [訳注] このオプションに効果があるのは、'--show-dot', '--show-tilde', '--skip-dot', '--skip-tilde' に対してだけのようです。 私が勘違いしていることもあり得るので、一応、ご自分でも確認しておいてください。 > > 2. --skip-alias > > Ignore option `--read-alias´, if any. This is useful to explicity > > search for normal binaries, while using the `--read-alias´ option > > in an alias or function for which. > > > > [試訳] > > `--read-alias´ オプションが指定されていても、それを無視します。 > > このオプションは、which コマンドの代わりに使うエイリアスや関数で > > `--read-alias´ オプションを使用している場合に、明示的に通常の > > バイナリを探すのに役に立ちます。 > > これで良いかと思います。 「通常のバイナリを明示的に探すのに役に立ちます」の語順のほうがよいかもしれません。 大した違いはありませんけれど。 > > 3. EXAMPLE > > > なお、EXAMPLE を「例」と一字に訳すのは、セクションの見出しとして落ち着きが > > 悪いと思います。「用例」とか「実例」とか、二字にした方がよいのではありま > > せんか。 > > 特に1文字でも違和感は感じません。 「著者/作者」と違って、誤訳やズレた訳ではありませんから、「例」だけでも 違和感がないのは当然だと思います。むしろ、安定感の問題です。一文字より 二文字の方がセクションの見出しとして安定しているのではないかという。 実はリアリズム (というか、使い勝手) の問題もあります。 which のような短いマニュアルでは問題にならないのですが、find とか sudo の ような長い manpage で「使用例」だけ見たいことがあります。そうしたとき 「例」で検索したら、本文中の「例」という文字にマッチする可能性が高いでしょう。 セクション名が「用例」になっている場合は、たぶん「用例」で検索すれば、一発で 飛ぶことが出来ます。もっとも、セクション名が「例」一字でも、「^例」で検索 すればいいじゃないか、とは言えますけれど。 > > ○ DESCRIPTION から > > > [試訳] > > which は、ひとつ以上の引数を取り、そうした引数のそれぞれについて、それが > > シェルプロンプトから入力された場合に、実行されていたであろう実行ファイル > > のフルパスを標準出力に書き出します。which は、それを行うに当たり、 > > bash(1) と同じアルゴリズムを使用して、環境変数 PATH にリストされた > > ディレクトリを調べ、実行ファイルやスクリプトを捜します。 > > s/ひとつ/一つ/ の方が好みです。 「ひとつ」「一つ」「1 つ」、どれも一長一短なので、自分が適切だと思うものを 選べばよいと思います。 > > ○ RETURN VALUE > > Which returns the number of failed arguments, or -1 when no `program‐ > > name´ was given. > > > > [訳文] > > which は検索に失敗した引数の数を返します。 また `programname´ が指定さ > > れなかった場合は -1 を返します。 > > > > 「書式」セクションから離れすぎているので、programname が唐突な気がします。 > > 「引数に 'programname' が指定されなかった場合には、」と「引数に」を補った > > 方がよいと思います。また、「また」はなくてもよさそうです (あってもよいけれど)。 > > 「引数に」を入れますか? 語学的に正しいかどうかだけでなく、読者 (特に一般読者) がどう受け取るか、 どうすれば分かりやすく、誤解されずに済むかまで考えるのが、学校でやる英文和訳と 翻訳の違いだと思います。読者という相手がいるということ。「引数に」を補った方が よいかどうかを考えた上で、要らないと判断するなら、それはそれで立派な判断でしょう。 「例/用例」もそうですが、正しい訳を一つ思いついたら、それに決めてしまうのではなく、 いくつか訳文の候補を考えて、できるだけ適切なものを選ぶのが大事なんだと思います。 それでは、which の manpage の方は、よろしくおねがいします。 info の方は、そのうち私の方でやっておきます。Makefile の書き方も git の 使い方も、簡単なことしか知らないので、うまく出来るかどうか分かりませんけれど。 -- 長南洋一