kanou****@khdd*****
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2006年 4月 9日 (日) 23:34:11 JST
狩野です。 私の個人的な考えでは、M+ の最大の価値は、品質に妥協しない改善の意志を 3 年にわたり持続して (かつそのプロセスを公開して) いることではないかと 思います。一つの理想的なイメージを保持して、それと照らし合わせつつ 具体的なイメージを改善する作業をどれだけ持続できるかは、美的感覚の 精度の高さによって決まってしまいます。 漢字について同じ作り方をするのが無理であることは、森下さんだけでなく 多くの人が以前から感じていたことではないかと思います。開発中止は 残念ですが、先の見えない巨大な開発目標を掲げるよりは、具体的な目標を 再設定するほうがいいのは確かでしょう。 ところで、リニューアルされた M+ OUTLINE FONTS のページを見たところ、 以前置かれていた漢字の作例がなく、ヒラギノ角ゴシックとの混植の例のみ が置かれているのはもったいないように思います。 モダンゴシックは仮名・漢字・アルファベットという用字系の壁を越えて 統一されたデザインを行うことができるのが利点ですが、ヒラギノ角ゴは M+ と線質が異なり、平筆で書いたような隅の強調が行われていますので 解像度や文字サイズを上げるとその点が気になります。同様に、IPAゴシック との合成フォントもデザイン的な統一という点で、使用していて違和感を 覚えます。やはり以前の漢字の作成イメージは、実際に利用不可能でも 既存のフォントとの組合せの適性を考えるうえで非常に便利な物でした。 他にもさまざまな漢字書体との混植が試されて然るべきだと思いますので、 AXIS Font との混植の例を添付したいと思います。AXIS Font の特徴と しては、ストロークの装飾的要素を排除して、線の配置のバランスのみで 読ませる完全なモダンゴシックでありながら、字面率がかなり小さく 長文の本文組版で苦痛を感じないように設計されているため、クラシック な印象とモダンな印象とが微妙に混在しているという点が第一に挙げられ ます。その点が M+ の仮名とも調和する理由ではないでしょうか。 具体的には、以前の M+ の漢字完成イメージの「散」の字に見られるような、 左払い・右払いが直線に近く設計されているところを、他にあまり類を 見ない共通の特徴として指摘しておきます。 また、Axis Font UL (UltraLight) は今のところ M+ Thin に合う太さの 唯一の日本語漢字フォントだと思います。(Axis, M+ ともに 7 ウェイト 構成ですが、Axis Font は UL (M+ Thinに相当) と L (Light) の中間に EL というウェイトがあり、H が最も太いウェイトなので、M+ Black を 除く 6 ウェイトの混植例を示してあります) ところで、今後の予定ですが、欧文書体を作るとなると、イタリックは 絶対に必要ですし、文字幅のバリエーション (Condensed, Expanded) も 期待されるでしょう。その辺についてどのようにされるおつもりなのか、 ある程度決まったらご相談頂きたいと思います。 -------------- next part -------------- テキスト形式以外の添付ファイルを保管しました... ファイル名: M++Axis.pdf 型: application/octet-stream サイズ: 57889 バイト 説明: 無しTélécharger