SIGMABLADE+SigmaSystemCenterによる障害自動復旧システムの構築
それでは作業を開始します。管理サーバにSigmaSystemCenter(SSC)のインストールメディアをセットし、インストーラ(ManagerSetup.exe)をダブルクリックして起動します。すべてのコンポーネントをチェックして、「実行」ボタンをクリックしてください。あとはインストーラ任せで作業を進めます。なお、後ほどSSCの設定を行う際にDeploymentManager(DPM)のパスワードを入力しますが、そのパスワードはこのインストールステップで設定したものになります。
SSCのインストールが完了したら、DPMの初期設定を行います。DPMは管理対象サーバのバックアップやリカバリ、ソフトウェアの配布などの処理を担うSSCの中核コンポーネントです。DPMの初期設定画面を開くには、Webブラウザを起動し、アドレスバーに「http://管理サーバのホスト名またはIPアドレス:8080/!DeploymentManger/Start.jsp」と入力します。ポップアップブロックが有効になっていると画面が開かないことがありますので、その場合は「ツール」→「インターネットオプション」→「プライバシー」でポップアップブロックを解除してください(IEの場合)。
DPMの初期設定画面にアクセスすると、管理サーバの登録画面が別ウィンドウで開きます。ここでは管理サーバのサーバ名とIPアドレス、ポート番号を設定します。ポート番号はデフォルト値の「56050」のままでOKです。それぞれ入力したら「OK」ボタンをクリックします。
管理サーバを登録すると、DPMのメイン画面が開きます。画面左上のペイン(“ツリービュー”と呼びます)に管理サーバや管理対象サーバがツリー表示されます(現在は上で登録した管理サーバだけが表示されています)。メインのペインにはツリービューで選択した対象の情報が表示されます。この画面ではメインのペインが薄い黄色で表示されていますが、これは現在のアクセスモードが「参照モード」であることを表しています。アクセスモードは、複数の管理者が同時に矛盾した操作を行うことがないよう、構成をロックするために存在しています。参照モードのままでは設定や変更を加えることができないので、ツリービューの管理サーバ名(ここでは「120rh-2」)の右クリックメニューから「アクセスモード変更」→「更新モード」を選択し、更新モードに移行します。
次にDPMに管理対象サーバを追加します。まずは管理対象サーバが所属するグループを作成しましょう。ここで定義するグループはサーバの物理的な属性(ハードウェアの種類や配置場所など)に基づくグループです。DPMのメニューから「グループ」→「グループの追加」すると、下の画面が表示されます。今回のようにSIGMABLADEが管理対象サーバとなる場合は、グループ名だけを指定すればそれ以外の項目はデフォルト値のままでOKです。今回はグループ名を「SIGMABLADE」としました。必要な項目を入力したら「OK」ボタンをクリックします。
ブレードサーバのグループを作成した場合は、ブレードを収納する収納ユニットを登録する必要があります。DPMのツリービューに追加されたグループ名(ここでは「SIGMABLADE」)を選択した状態でメニューから「収納ユニット」→「収納ユニットの追加」を選択し、下の画面を開きます。この画面では、「収納ユニットID」に収納ユニットを識別するためのID(1以上の整数値)を入力して、「OK」ボタンをクリックします。
管理対象サーバをDPMに追加します。管理対象サーバのMACアドレスが分かっていればDPMから直接追加することもできるのですが、それよりも自動発見機能を使ったほうが簡単です。自動発見機能を利用するには、ネットワークブートで管理対象サーバの起動します。SIGMABLADEは工場出荷時にネットワークブートを優先するように設定されているので、電源を入れるだけです。すると、DHCP経由で管理サーバにMACアドレスが通知され、管理対象サーバが認識されます。認識されると下の画面のように、管理対象サーバのPOSTメッセージに「This computer has been just registered by the management server.」というメッセージが出力されます。
自動発見に成功すると、DPMのツリービューに「新規コンピュータ」という名前で管理対象サーバが追加されているはずです。新規コンピュータのツリーを開くとMACアドレスが表示されますので、MACアドレスの右クリックメニューから「コンピュータの追加」を選択してください。すると「コンピュータの追加」画面が表示されるので、「コンピュータ名」と「収納ユニットID」、「スロットID」、「スロット幅」を設定します。コンピュータ名は管理エージェントをインストールするとOS側で設定したホスト名に自動更新されます。ただし、OSがインストールされていないサーバはここで付けた名前で管理されるので、サーバを特定しやすいコンピュータ名を付けるようにしましょう。ここでは、収納ユニットのスロット1に設置したサーバなので「Slot1」と指定しました。収納ユニットID、スロットID、スロット幅には、どの収納ユニットの、どのスロットに設置された、何スロット幅のサーバなのかを指定します。以上の項目を設定したら、「OK」ボタンをクリックします。なお、指定したスロットが別のサーバですでに使われていた場合は「OK」ボタンをクリックした際に再設定を促すエラーメッセージが表示されます。
サーバ追加後のDPMの画面です。同様の手順で残りのサーバも追加してください。なお、複数のブレードの電源を同時に入れて自動認識させるとDPMの画面上からはどのMACアドレスがどのスロットのサーバのものか判別できないので、自動認識とサーバ追加時の設定は1台ずつ行うようにしてください。
すべての管理対象サーバをDPMに登録したら、各管理対象サーバにSSCのエージェントをインストールします。
Windows Serverの場合は、SSCのインストールメディアにあるエージェントのインストーラ(AgentSetup.exe)を起動します。「クライアントサービス for DPM」をチェックし、「実行」ボタンをクリックします。途中で管理サーバのIPアドレスを入力する画面が表示されますが、それ以外は特に入力が必要な項目はありません。
Linuxの場合は、SSCのインストールメディアにあるエージェントのインストールスクリプトを実行します。まず、管理対象サーバにrootでログインし、インストールメディアをマウントします。以下のようにインストールスクリプトのあるディレクトリに移動し、スクリプト(depinst.sh)を実行してください。
# cd /media/cdrom/DPM/Linux/ia32/bin/agent # ./depinst.sh …… Enter the IP address of the management server. >192.168.1.120 ←管理サーバのIPアドレスを入力 ……
上記のように、途中で管理サーバのIPアドレスが尋ねられるので、アドレスを入力してEnterキーを押します。あとはスクリプトがエージェントの起動までを自動的に実行します。
エージェントをインストールして、管理サーバと管理対象サーバの通信が確立すると管理対象サーバのOS側で設定したホスト名がDPM側のコンピュータ名に反映されます。今回の例では「Slot1」が「System-A」に、「Slot2」が「System-B」に更新されました。「Slot3」はOSが入っていない待機サーバなので「Slot3」のままです。以上でDPMへの管理対象サーバの追加は完了です。