QTheora (0.9.0) | 2009-09-09 12:00 |
Theora (しおら) は、フリーなビデオ圧縮フォーマットで、同じくフリーなオーディオ圧縮フォーマットで ある Vorbis を開発した Xiph.org Foundation がリリースしている。
Vorbis は、Xiph.org がオリジナルで開発しパテント・フリーとされているが、Theora は、FLV 用の ビデオコーデックでポピュラーな On2 TrueMotion VP6 を開発した On2 テクノロジー社の VP3.2 がベース となっており、同社が権利を所有するパテント技術が使用されている。
2001 年 On2 テクノロジーは、VP3.2 ビデオ CODEC をオープンソース化し、Theora のベースとして 使用されることに合意した。VP3.2 由来の同社パテント技術も Theora フォーマットとして使用される限り、 自由に使用できるため、Vorbis と同様にライセンスフリーで使用できる。
Theora バージョン1のビットストリームフォーマット仕様は、2004/06 に仕様凍結された。また、リファレンス ライブラリ (libtheora) が、Xiph.org より、2008/11 に公式リリースされている。
現在、Theora の開発者は、Mozilla Foundation の資金援助を受け、エンコーダーの改良プロジェクト・ コードネーム Thusnelda (とぅーすねるだ) の開発を行っており、エンコードクオリティの向上が期待されている。
技術的には、Theora は DCT (離散コサイン変換) + MC (動き補償) をベースとしており、ビデオ圧縮フォーマット としては、非常にオーソドックスな構成となっている。
フレーム間圧縮機構としては、P フレーム (前方参照フレーム)をサポートし、MPEG 系で使用される B フレーム ( 双方向参照フレーム)は、使用されない。P フレームの参照フレームとしては、直前のフレームに加えて、 直前の I フレーム (イントラフレーム) の2フレームを使用できる。
整数演算による DCT/iDCT を規格化しているため、実数演算による DCT に比して、誤差のコントロール を行えるため、長い参照フレーム (Long GOP) を使用することができ、圧縮率の向上に寄与している。
インターレースビデオはサポートしていないため、TV 放送の直接録画などの応用には適していない。
フォーマット開発時期から、フォーマットのテクニカルメリットとしては、H.263, MPEG-4/SP +α 的な 領域にとどまっている。エンコード技術の成熟が進んだ MPEG-4/ASP (DivX や XVID など) や、本格的な 実用化期に入った H.264/MPEG-4 AVC や最新の CODEC (VC-1, VP6 等) に比べると、一世代前の技術 であり性能面での見劣り感は否めないといえる。
しかしながら、MPEG-1/2 や MPEG-4 初期時期の CODEC に対しては十分な競争力を持っており、エンコーダー 実装技術の成熟が進めば、最新 CODEC には遅れをとるにしても十分な実用性を持つものと考えられる。
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LastUpdate: 2009-05-13 14:49:27, ModifiedBy: noumiakira
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